サックスのビンテージリガチャーにおいて、値段的にも最高峰のマーティンリガチャーについて説明します。
オークションでも高値で取引され、ビンテージ愛好家の中でも比較的評価が高いマーティンですが、実は色々な仕様が存在します。その仕様の違いとオークションにおける購入の注意点など説明します。
目次
マーティンリガチャーとは?
フランスの古いメーカーである、Herounard et Benardという会社が製造した色々なリガチャーの一つ。マーティンのみならず、オットーリンク、メイヤー、クランポン、ミューラーなどのOEMとして供給され、またマウスピースに付属していたことで多くの個体が広まりました。同じ会社が作っていたとはいえ上記の色々なメーカーにはそれぞれの仕様があり、それぞれに個性があるが、マーティンが最も評価が高い。Phil Woodsの使用が有名で、メイヤーのマウスピースをはじめほとんどのマウスピースに、スタンダードかつ高性能なサウンドを奏でます。
様々な種類のマーティンリガチャー
仕上げの違い
ラッカー仕上げと銀色の仕上げがあり、銀色の仕上げは基本的にはニッケルプレートだが、くすんだ色の銀色もある。シルバープレートもあるのかもしれないが、基本的にはニッケルと思ったほうがいい。
(画像はFrance仕様のものも含みます)
このうち、最も反応に優れているのはラッカーで、最も軽い反応かつ表現力の幅があり、ラッカーのカラっとした鳴り方に優れている。ピカピカ銀色系は、若干抵抗はあるものの、音の太さや、音の大きさ、厚みに優れ、高い音の強さや、低音の太さなど、大きく鳴るものが多い。くすんだ銀色系は、良く鳴るが、ラッカーやピカピカ系に比べると、パッとしない印象のものが多い。
種類は、クラリネット、アルト、テナー、(バリトン)、バスクラ用など
概ね,クラリネット全般とサックス全般用のものがみられる。
人気のアルトサックス用は、基本的にはメイヤーサイズだが、メイヤーには少し大きすぎたり、はまるがやや小さめのものもある。その小さめのものは、恐らくアルトクラリネット用とも考えられるが、通常のサイズ感のものを選ぶことをお勧めしたい。
ねじの大きさに注意!
実はマーティンのリガチャーのねじの大きさは、少なくとも3種類存在します。
1.小さめのねじ
2.大きめその1
ねじの形がどちらかといえば丸みを帯びているタイプ
3.大きめその2
ねじの形が相対的に縦方向に伸びており、つまみがやや深く、回しやすい仕様のもの
これらの中で、ねじが小さいものは鳴りが悪いため、マーティンと言えども注意が必要。本体がいいものであれば、別のマーティンリガチャー用ねじを流用することでパワーアップできる!
購入する時の注意点!
ねじの形に注意
このようなねじはOK、個人的な好みとしては右側の形のものがよく見かけるスタンダートで安定
下記のラッカーのMartinには右側がついていました。
以下のようなねじは注意が必要 (ねじ小さめ)
オリジナルのねじかどうか注意!
仕上げには注意!
最も人気が高いのは、ラッカー仕上げ!
通常のよく見かけるのは、以下の銀色タイプ。
銀色は基本的にはニッケルだが、ニッケルに見えないシルバープレートに見えるものも過去に数個持っていたことがあります。しかし、一般的にはニッケルプレートが多いので、シルバーといわれてもニッケルと思ったほうがイイでしょう。
コンディションに要注意!!!
マーティンに限らず、ビンテージリガチャーは作られてから相当の年数が経つため、コンディションに注意が必要です。
注意点①
ねじ穴の溶接部分は、内側から見てはがれていないか?以下の写真では、めくれてきているのがわかります。
注意点②:ねじが2本へ平行か?
本体が伸びたり、ねじ穴の溶接部分がはがれてくると、ねじが2本平行でなくなります。
当然、締め具合も、耐久性も落ちますので注意が必要です。
注意点③:錆は出ていないか?
サビは、金属を痛めるだけでなく、鳴りの阻害になります。きれいに磨いたとしても、錆はまたすぐ発生し、鳴りが悪くなります。
錆が出ているものは避けるようにしましょう。
オークションでの実売価格は?
かの国の爆買いがあった頃は4万近い値段で売れたこともありました。最近では、概ね1万あたり、高くても2万円あたりが相場ですね。
一昔前はたくさん見かけましたが、見かける頻度は少なくなってきています。
1万円くらいの価格で買えれば、概ね標準といえるでしょう。
おわりに
いかがでしたか? マーティンリガチャーを手に入れて、ビンテージのサウンドを是非楽しんでください。