ジャズ用マウスピースとして、最も優れていると評価の高い、そして値段も最も高く、ついでに最も手に入れにくいフロリダダブルリングの購入するお話のレポートです。

ダブルリングとは?

1950年代初頭から60年代中期にかけて作られたオットーリンクのメタルのマウスピース。シャンク部分の線が2本になっていることからダブルリングと呼ばれる。

1950年代中盤にオットーリンクの工場が、NYからフロリダに移行したこともあり、ダブルリングにも(3本線以上のものも?)色々なモデルもあるが、大きく分けると

①ニューヨークダブルリング

②フロリダテーブルスタンプダブルリング

③フロリダサイドスタンプダブルリング

があり、フロリダでは開きの番号がテーブルと横にあるものがありますが、テーブルのほうが古く横にあるもののほうが新しいということになります。

ダブルリングは誰が使っているの?

ハードバップ教の大神官であるハンクモブレーを始め、その当時の70%くらいの方は、ダブルリングです。

(モブレー先生)

(スティット先生)

ブレッカーも、ジャコのBirthday Concertなどでもダブルリングを使っています。

ついでに、ポッター先生も昨年東京にいらっしゃった時は、ダブルリングでした。

 

このようにダブルリングはその当時はもちろん、現代でもジャズ用マウスピースとして超一流に選ばれる、リンクメタルの中でも最高峰のモデルとなります。

欲しいけど売ってない!

分かっています、みんな欲しいんです! でも、いいものを誰が手放すでしょうか?

出てきても ボロボロ、、、あるいは、4番を7番に広げました?など、おおよそ使えそうにないもののことが多いですね!

今回は5待って?ようやく、使えそうな個体がお店に出てきたお話です。

Facebookなどの個人取引などならチャンスはありましたが、お店でリスクが少ない状態で買えそうないい感じのものは5年ぶりでした。

こんな感じで売りに出されていました。

購入後に写真を撮ったので売り切れになっています。

説明や写真から見て分かることは、

①サイドスタンプなのでダブルリングとしては最も新しい、No USAモデルの前のモデル

②リプレートされている

③テッドクラムが7から7★に調整している

値段は1650ドルでした。

さて、これは一か八か買っていいものなのでしょうか?

ダブルリングをいっぱい吹いてきた観点からマニアックな考察

まず目についたのは、コレ!

バイトプレートに歯形がついています!

即ち、結構使われたことを意味します。

使い込んだ跡=アタリのマウスピース の法則があります。

逆の法則として

新品同様のデッドストック = ダメなマウスピースなので使われていないの法則  

もあります。

このように実用的でいいマウスピースを手に入れるには、ピカピカのものより多少使い込まれたもののほうがいいでしょう。

リフェイスでも大丈夫?

一般的にはリフェイスはあまりお勧めしません。しかし、今回はTed Klumがリフェイスというか、調整をしているようニュアンスのリフェイスです。歯形がつくほど使い込まれたので、メッキも落ちて多少ゆがみ出ていたことでしょう。しかし、その歪みのリスクはリフェイスされていることで解消されて安全と考えられます。そして、

Ted Klumがやっているところが大きなポイント!

Tedはフロリダリンクを作っていたBenさんの設計図をもっています

即ち、当時と同じデザインで作ることが出来るリンクのスペシャリスト、修正に最も適した人なんです!

そのTedが、使い込まれたダブルリングを復活させているわけですから、信頼できないわけはありません。

先端もきれいですね!

 

広げたり閉じたりすると、この先端のロールオーバーバッフルの厚みがかなり変わります。

フェイシングが仮に再現できたとしても、この先端から少し入った部分の容積が変わってしまっては意味がありません。

その意味では、7から7★では影響が最小限で、重要なこの部分もうまく保持されているといえます。

リプレートでも大丈夫?

一般的にリンクメタルのリプレートは避けるべきです。音が変わってしまうので、限界を超えるまでは地金で使うことが多いです!

通常のリンクメタルなら、リプレートはおススメしません。しかし、

新品のダブルリングなどもう存在しない、、、となれば、長く使うには金メッキ代込みでお得!と考えます。

リフェイスとリプレートで、円換算と3万はするでしょうから、それ込みなら安いですね!

1650ドルは高いのか?安いのか?

値段はあってないようなものですので、同じくらいのものは2000ドルのこともあるし、1200ドルくらいのこともあるでしょう。

日本なら、5番のリフェイスが40万というようなものもありましたので、決して高くはない、、、むしろこれ以上安く買うのは基本的には難しい、、、という印象です。

 

というわけで、躊躇なく買う!

サックスクエストは配送は安全なので、1週間ほどで届いた。

ネットでのビンテージサックス販売としてはこれ以上にないくらい実績のあるお店ですので、確実に届きます。

20年ほど前ですが、アメリカ在留時に購入して輸送中に破損しても、(その当時は値段が安かったこともあり?)リファンドしてくれた経験もあります。

正し、配送はキチンとしてくれますが、コンディションやリラッカーなどの確認は自身でしっかり行う必要があるでしょう。

購入を決めれば、安心して届くの待つだけです。

 

 

 

めっちゃいい感じ! リフェイスモノにありがちな、ピーキーな感じもなく、上から下まで均一で、まさにあの音がします。

 

なんというか、あの独特の音、、No USAよりもカラッとしているけど、音の厚みがあるダブルリングにしかない音が出ます。

リプレートされている分、オリジナル使い込まれ系のパサついた感じはないですが、明るすぎず、艶と味のある音がします。

というか、モブレー教信者である私は、この音聞いたことあるな、、と感じる親しみのある音がします。

私の9万台に付けてもSoul Stationの香りがします。

ハードバップやるにはこれしかない、、まさに最高のマウスピースでした。

お値段は全部で24万

送料込みで、このくらいだったそうです。というのも、私が買ったわけではなく、ダブルリングを探しているという人に購入を強く勧めてその方が買われました。

もちろん、大満足で、24万そのものは高いのですが、まあまあなマウスピースを数本買うくらいなら、えいっっっっ!!と買ってしまえば、マウスピース探しの旅は終わります。

そして、これを使うとモブレー先生にサウンド面で部分的に大きく近づけるわけですから、練習するのが楽しくてしょうがない、という側面もあります。その意味では、十分に価値のあるマウスピースです。

そもそもですが、今はいいマークシックスは200万以上は軽くしますが、いい楽器と使っていてもマウスピースがだめなら、、、、

あるいは、いい楽器使っているけど、なんかいい音しないな、、、と感じられる方には、是非ダブルリングをお勧めしたいと思います。

まとめ

イイものって中々手に入らないんですよね!

オークションやメルカリでまあまあなものを買うよりは、今回のように狙いを定めで一発で決めるのが最もいいでしょう。

よし、次も出てきたら買うぞ!! という気持ちに今回もなりました。

次はいつ出てくるかな???

皆さんも、探してみてください。

 

 

 

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